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のこぎり莫迦につき危険なり取り扱い注意
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今回は2005年10月10日に行われた「服部緑地レインボーヒル」ライヴの模様をお伝えいたします。

今までの経験から言って野外コンサートとのこぎりオーケストラの相性は、あまりよくありません。
一応アコステ楽器なのでマイクが上手く音をひろってくれないのです。
折角沢山ののこぎりが一斉に音色を奏でるので、そのハーモニーを余すことなく観客に届けたいと毎回マイクの配置に苦労していますが、残念な結果になることもよくありました。

今回のステージこそはどうしても成功させたい・・・・

S支部長の闘志はそれはもうメラメラと燃えておりました。

特別スーパーバイザーX氏(笑)を迎えてああでもないこうでもないと綿密なシュミレーションが重ねられます。
なにしろレインボーヒルでは大勢のアーチストが入れ替わり立ち代りのステージングなのでのこオケだけにPAを割くことができないのです。
使えるものは全て使い切ってなおかつ効果を最大に引き出さなくてはならないのです。

リハーサルでは二人でマイク一本を共有しました。
しかし、なんとも中途半端な音の拾い具合で演奏が客席に届きません。
S支部長を始め、スタッフやオケメンバーも渋い顔になります。
本番の時間も押し迫り、無常にもステージ撤収。
はてさてどうしよう?

昼食もそこそこに楽屋で緊急会議です。

のこぎりの音を効果的に拾うのはマイクを下に低く立てて、その上にのこぎりをセットするのが一番ですが、いかんせんマイクの数が足りません。
しかし先ほどのように数人で一つのマイクを共有する方法では全員共倒れです。

どうするべきか・・・・。

「各パート代表一人がマイクを一本独占しよう。」
なんとも残酷な方法が採用されました。

皆、いままで練習を頑張ってきました。
しかし座席の加減でマイクを独占する者と外されて客席には無音状態になってしまう者とに別れてしまうのです。
でも。
のこぎりオーケストラはもはや仲良しサークルの領域から卒業しなくてはなりません。
お金を払って聞きに来てくれたお客さんにそれに見合った最高のハーモニーを提供するプロ楽団であるべきなのです。

断腸の思いで座席とマイクの振り分けが改めて行われます。
今まで以上に演奏に対する責任の重みが増して、オケメンバーもニガ笑い。
実は今回新たにオリジナル新曲・しかも結構大曲を初披露することになっているのです。
こんなことでステージがうまく務まるのでしょうか?

時間の都合でマイクリハーサルが出来なかった「カチューシャ」チームにも不安がよぎります。
泥縄式に楽屋で音あわせをするものの、肝心のマイク位置はぶっつけ本番なのです。
基本的にお気楽で明るいチームカラーの彼らの良さが出ればよいのですけれど。

「ま、たのしくやろうや。」
そういうあなたこそ。
目が笑っていませんよ、S支部長。

先に会場を盛り上げてくれたミュージシャンのステージが終わりました。
場面転換がてきぱき行われます。

不安を胸に抱いてステージすそから見上げる客席上の空は、今にも降りだしそうな雨雲に覆われていました。

 



レインボーヒルの舞台自体は決して狭くはないのですが、今回のライヴは様々な特色を持つミュージシャン達の競演であるため、自分達が使わない楽器や機材などが予めセッティングされていて、その間を抜けて20客チョィの椅子を並べるのは面倒くさい作業でした。
各自で己が座る椅子をもって雪崩のようにステージにへ走り出て、椅子を置くとただちに撤収。

舞台にはS支部長ひとりが残されました。

♪ふぃろろーん ふぁらるらろらーららら・・・

曲名は『トロイメライ』、なんと無伴奏です。

過去にS支部長は「のこぎり一本で伴奏なし演奏すると場面的に痛ィから、カラオケでもなんでもいいから伴奏つけたほうが良い」という内容のことをおっしゃっていましたが、のこぎりソロコンサートをおえて心の中で何かが変わったのでしょうか、あえてタブーに挑戦されています。

筆者は舞台袖で半ば固まりつつ、その演奏に耳を澄ましていました。
通路には目隠しに暗幕が垂れているので客席の様子がわかりません。

拍手のあとカチューシャチームが舞台へ上りました。

S支部長がもう一曲(曲名忘れましたゴメン)を、やはり無伴奏で演奏したのち『カチューシャ・Sさんと一緒ヴァージョン』に演奏がうつります。

ぽんぴょこ・ぽんにょといつものごとく珍妙なアレンジで物悲しいメロデイが流れます。
今回のヴァージョンの特色はS支部長が新兵器羊羹流し型の中底を叩いて乱入している点でしょう。
んもう、音を聞いているだけで可笑しさがこみ上げてきます。
観客も大うけのようでした。

「次入ってください。」

支持にしたがって次の曲へ参加するメンバーが舞台へ。
リハーサル時と違う席へ座らなければならない人もいて、浮かべる笑顔もぎこちなくなります。

「客席で踊ってるから、皆私見て笑ってや」と今回は裏方にまわったヨコユレ嬢(仮名)がメンバーを励ましてくれました。
ありがとう。
心強いよ。

いよいよ本邦初公開の新曲『イロード~侵食』です。
ディレイがたっぷり掛ったタラスナさん(愛称)のエレキベース音で演奏が始まりました。

これは鉄がゆっくり錆びていくような、世界がじんわり崩壊していくような、切なさと不安さの入り混じった、いままでの呑気なオケカラーになかった作風の曲なのです。
三部に分かれた弓パートがヴァイオリン楽団のように和音を刻みます。
それにベースとギターの音色が絡まってセピア色したハーモニーを醸します。
今回筆者はこの曲には参加していませんが、付き合って練習した内容はまさに地獄の特訓でありました。
体力を物凄く消耗するのですよ、のこで長時間バッキングすると。
みんながんばれー。

渾身の演奏が終わりました。
いよいよ筆者も出番です。

すばやく席につきマイクを調節します。
客席へ目を向けると、ぽつぽつと雨が降り始めていました。
やばいな。
観客のテンションが・・・・いやいや演奏者自身が鬱ウツしてどうする。
笑顔、えーがーおー。

『SAW ROCK』

クールでお洒落なハーモニーがどれだけ皆につたわるのでしょうか。
マイクを一本預かったからには、とにかく精一杯演奏しました。

ラストは『ブラジル・ヴァージョンネオ』
このころになってようやく客席をみる余裕がでてきました。
予告どおりヨコユレ嬢が手をふりふり踊っています。
みわたせばそこここによく見知った顔ぶれが座ってこちらに声援を送ってくれています。

よーお-し。
マレットでノリノリに叩いてやろうじゃないですか。
ご陽気に参りますよ。

 

暖かい拍手に包まれてのこぎりオーケストラは全ての演奏を終えました。

悪天候の中ご来場いただきまして、そして演奏を聞いてくださって本当にありがとうございました。
楽しかったですか?
そうだったら嬉しいです。

 

 

 

のこオケの演奏が終わってから雨は本降りになってしまいました。
本当は最後のアーチストまで観覧したかったのですが、雨に弱い筆者は早引けを決め込むことにしました。
おつかれさま。
みんな、あしたも練習(何やと?)あるから風邪ひかんといてや。
ではお先に失礼いたします。

おわり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


次の日。
S支部長は思いっ切り風邪をひいてティッシュペーパーの箱を抱えながらスタジオに現れていました。
わ・・・解りやすぅ・・・・。

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主筆者紹介
HN:
いちもんぢ らく乃
HP:
性別:
女性
職業:
危険物楽器扱業
自己紹介:
見たまま怪しい奴
ではありますが
無害です



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