過去ログ[ アメリカ決戦2004より ]
***ファーストクエスト ***
サンフランシスコ空港に着いただけで、もう既にメンバー全員へろへろである。
飛行機の中って眠り辛いよう。
時差もあるし荷物カウンターでのごちゃごちゃがドドメだったなあ。
はやくホテルへ行ってゆっくりしたいよね。
さてこの貧乏旅行、アメリカでの移動はレンタカーでGOGOという事になっていた。
たらすなさんとナンデモさんは予め日本で国際ライセンスを取得。
空港で車(これも日本で予約済み)ゲットしたらホテルまで一直線だ、わーいわーい。
・・・・・・そんな簡単に事がはこぶ訳ゃないでしょう。
言葉の壁に四苦八苦してようやっと車のキーを手に入れたら、今度は荷物が車に積み込めない。
6人乗りの小型ワゴンがこんなに聞き分けが悪いなんて。
ゴン、ガン、ゴゲン!と無理やりサブシートを折りたたみテトリスの様にスーツケースを捻りこむ。
「ううっ、だれやこのカバン、むちゃ重い・・・・」
それは私です。
なんとかかんとか全員乗り込み。
車が発車します、オーライ。
「ふいー」
「これからどっち行くの」
「ルートナントカをまっすぐだよね」
「道どれ?」
「空港で貰った地図見よ」
「って、道どれ?」
「うわー大雑把」
「とりあえず空港から離れたいんだけど」
「その離れたはずの空港がなんで向かいからこっちへ・・・」
「戻ってる!道戻ってる!」
「じゃこっち・・・って駐車場やあ」
「じゃあこっちの道は」
「別の駐車場・・・」
「アカン、地図買おう地図」
「どこかコンビニあるの?」
「それも判らん」
「また空港に戻てる~」
「ここはどこやあああ」
「・・・・・ぐーぐー」
「って寝るなああああ」
「・・・・んごがー」
勇者不在のパーティ
時魔道師レベル1
白魔道師レベル1
吟遊詩人レベル1
僧侶レベル1
遊び人レベル1
・・・・始まりの町でいきなり遭難。
***嘘みたいなホントの話***
ここはどこ?
わたしはだれ?
「何ねぼけてるねん」
と頭を張り倒された。
気がつくと皆を乗せたチキチキマシーンは海辺を走っている。
どうにかこうにか町から離れられたらしい。
ハンドルを握っていた たらすなさんと、方位磁石片手にナビゲートしていたナンデモさんは、わずかの間にどっと老け込んでしまっていた。
二人とも目の下に隈が。
ひー。
合掌。
「君、よー寝てたなああああああ」
う。
目が据わっている。
雲行きやや荒れ模様。
いや、ほれ、筆者はね、乗り物酔いしやすい体質なんですよ。
無理に起きていてね、気分悪くなったらね、皆に迷惑かかるしね・・・・・。
「いやあ、それにしても便利やね、方位磁石って」
あわてて話をそらす筆者。
「やっぱ、冒険アイテムって感じしますな~」
わは、わは、わはははは。
「でも基本アイテムの割には、このメンバーで持ってきたのはナンデモさんだけですよね」
「よっ、お気遣いの紳士!」
「そんな大げさなもんかな」
「ちょっと休憩していきません?」
「そー、そー。ほらあっち灯台見えてる」
「休憩!休憩!」
「ずっと寝てたくせに」
「きゅーけーい」
道の傍に車を止めると、みんな一斉に外へ飛び出した。
空港に着いた時は町中に霧がかかっていて、空気はじっとりと冷たく、本当に夏なのかと一瞬あせったが、ここまでくとそうでもなかった。
からりと乾いたかぜが心地いい。
誰が言い始めたわけでもないが自主的にノコギリを車から降ろすと、銘々好き勝手なポーズにノコを構えて写真撮影大会が始まった。
「本当に来ちゃったんよね、アメリカ」
「来ちゃいましたねえ」
「ノコギリ持ってさ」
「持って来たねえ」
「世界大会なんだよね」
「出るんだよねえ」
「嘘みたいだよね」
「まだ言ゥてる」
実はこの連中、日本出発二日前までとんでもない事柄に気がつかなかったのである。
最終合同練習日、ちょっと休憩して国際ミュージカルソー祭のHPをなにげなーく覗いていたら、だーれも話題にのせていないある重要なタ-ムが見つかった。
『個人大会エントリー者は持ち曲と他に課題曲を演奏するべし』
なになになになにいいいいい?!?!?!
ししししし知らんぞ、何だ『課題曲』って?
この事実が発覚した地点で我々はパニックに襲われた。
んが、大会HPにはずっとまえからちゃんと記載されていたのである。
気づかなかった、というか、きっちり読まなかった我々が悪い。
でも・・・涙が出ちゃう。日本人だの。
英語なんてできることなら読みたくないわいな。
過去に出場経験のあるHAJIさんも、これにはまったく気づいていなかった。
「だって、俺昔でたとき、そんなんなかったもん。ってゆーか、誰もHP読んでなかったんかいな」
そういうあなたもそうでしょうが。
課題曲が「蛍の光」で無伴奏ということがわかり、ひとまずほっとした筆者。
あまりのショックでボーゼンとしているR2さんの為に、急いで五線紙をとりだすと、蛍の光のメロデイを書き起した。
ほんと、嘘だったらこんなに慌てなくて済んだのに。
嘘みたいな話はもう一つあった。
日本を立つすこし前の日、大会のメインステージで団体演奏をする筆者達にプログラムが届いた。
ふむふむと覗き込むとゲスト沢山の楽しそうな内容が書き連ねてある。
さてと、筆者達の出番はと・・・・・。
?
「あの・・・・HAJIさん、私達の出番って」
「ああ、3時すぎごろやね」
「いやその前に。HAJIさんですか、このチーム名考えたの」
「チーム名?」
「これ、『HAJI&His Girls』になってますけど」
ブボハッと茶を噴出す音が部屋のあちこちから聞こえた。
「ななななにいいい????」
「俺知らん、俺知らんて」
「誰がGirlやねん」
「だから俺決めたんちゃうって」
「よかったね、ウチらGirlやって」
「俺もかよ」
「毛脛ボンバイエでか」
「まじ?紙見せて」
慌ててプログラムにてをのばす。
「見せてって、これHAJIさん所に届いたやつでしょうが」
「見てはれへんの?」
「時間しか確認してへん・・・・・うわ。ホンマ、Girlや・・・」
どうやらアチラのスタッフが適当に名づけちゃったらしい。
「面白いからこれでいこか」
「まじっすか!」
筆者としてはGirlのほうが面白かったのだが、後から大会の運営委員会のほうから
『名前から推測するとどう考えても男性メンバーが多いのであるが、チーム名はこれで正しいのか。変えたほうがいいと思われる』
とツッコミが入ったので、7年前に使用した「SawHappy」に替わってしまった。
これはこれでかなりフザケタネーミングなのだが。
楽しい旅になりそうだよ、本当に。
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