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のこぎり莫迦につき危険なり取り扱い注意
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♪べよーん よ よーん よ・・・・

薄暗い室内に響き渡るみょうてけれんな調べ。
哀愁漂うロシア民謡も、のこ集団が一斉に演奏するとビジュアルもハーモニーもどうしてこう笑えるのだ、本人たちは大真面目なのに。

「はっ!」

ちょっとでも楽器演奏をやったことのある人なら、それもバンドやオケなど合奏ってヤツを体験したことがある人ならわかってもらえると思うが、大変なのよ集団で美しいハーモニーをつむぎだすのって。

「ほっ!」

だから集団行動にはリーダーが必要で、オケには指揮者やバンドマスターが必ずいるわけで。

「ひょうっ!」

【楽曲K】にはスペシャルなバンドマスター・・

「はっーは!」

さっきから聞こえるキッカイでケッタイな掛け声の主がそれで・・・・

「ひょーほ!うほうほ!」

掛け声隊長Tさんなのでありまして・・・・・

「むっきょー! ほきょ! ほきょ! うきゃ!うきゃ! ひょー! ほっきゅおおおおおおおおお!」 

お兄さん、あんた怖いわっ!

のこぎりの背中部分を肩に担ぐように構え、ギザギザした刃の部分を特製ギロ棒(材料は折れた傘の骨!)でギロギロ擦りながら絶叫する様はまるで怪奇漫画の登場人物のごとし。
その神がかり状態な掛け声につられて、のこオケの演奏もスピードに狂気が加算されてたいへんな状態に。

「うほ!うほ!うほ!うほ!」

気のせいかTさんの背景におどろおどろした漫画効果がみえるような・・・。
うーむ、なんとも怪奇効果背景の似合うお人よ、水木しげるの漫画にこういうサラリーマン居たよなあ、似てるなあ。
稲光のひらめきもよくお似合いよ。
って、え?

どんがらがっしゃ~~~ん

うわあ、まじだよ、本当に雷おちてるよ外。
雨降り出してますがな。

なんということだ。
いままで晴れていた空が急に乱れるなんて。
はっ。
もしかして。
我々のこの演奏が原因なのか、そうなのか?

そうだよ、どうも変だとおもっていたんだよ。
この円陣。
このパフォーマンス。
この演奏。
そして

「うきょ!」

・・・・・・この呪術師(笑)

間違いない。
「実は【楽曲K】の演奏イコール雨乞いの儀式だったのだ!」
そうだ間違いない。

「ちょっと、ちょっとらく乃ちゃん。」

「大変だ、皆聞いてくれい。」

「何ひとり興奮してんねん。」

「雨降ってるでー。」

「いやそれはわかってるって。」

「なんと!Tさんはわかってやってたんですか!」

「は?」

「このこの~しらばっくれちゃってもう。
この雨降らせたのは【楽曲K】なんでしょ?のこオケ自主練とかいって本当は秘密結社の雨乞い儀式だったんでしょ今日は~。
んもーそれだったら先に言うててーなー傘用意してきたのにー。」

「何寝ぼけたこと言うてんねん。今日は昼から天気崩れるって天気予報が言うてたやんか。」

「またまたトボケちゃって。天気は【楽曲K】のせいなんでしょ。
どうりで最近オケ舞台の日に雨ふる思った。
NHK以外全部この曲やってるもんなー。
うむ【楽曲K】効果抜群や。これで雨乞いツアーやったら儲かるんちゃうかな。
なあなあエエ考えやとおもいません?」

「・・・・・あのなあ、仮にこの曲が雨乞い儀式やったとしてもやで、朝から雨降ってたら関係ないやんか。」

「え?それはそのー・・・前日に練習したやつが次の朝効いて・・・とか。」

「一心寺の時は前日練習してないやろ。でも当日土砂降り。」

「う。」

「それにな、滋賀のアレな。あんときは【楽曲K】やってへんで。」

「がびーん!チクショウまた滋賀のアレで例外でたー!」

調子にのっていたはずの推理にまたまた穴が。
格好悪いぞ。
言い出した手前引っ込みがつかなくなって慌てて他に原因になりそうなものを探そうと頭の中で記憶に投網をなげつける。

「あ、あ、そうか【楽曲B】あっちか、あっちが雨乞い曲や、そうや~きっとそうや~。」

もうパフォーマンスも掛け声も関係ないがな。
最近よくやるレパートリーのせいにしようとしていた探偵に掛け声隊長は冷静に突っ込んだ。

「【楽曲B】はアメリカでやったよなー、ええ天気やったよなー。
金物祭りでもやったよなー、ものごっついカンカン照りやったよなー。」

「げふっ、そこまで遡りますか。」

ぐうの音も出ない探偵。

「そーか、演奏中そんなこと考とったんか。」

ギロリと刃を光らせて詰め寄る隊長。

「どうもリズムが狂って全体のノリが悪いと思ったら原因はらく乃ちゃんか。」

「ぎ、く。」

外だけではなく室内も雲行きが怪しくなってきた。
他のオケメンバーも「べつに怒ってへんでー」といいつつ微妙に生暖かい視線で探偵を貫く。

やばい。
このままではトラの穴に放り込まれて基礎リズム訓練地獄へ。

「あ たいへんだあ だいじなようじを おもいだしたぞー」

「台詞棒読みやで。」

「ちゅーわけで、サイナラっ!」

「逃げた!こらーもどって来~い特訓や~~~!」

 

またまた敵を増やして逃亡するはめになった探偵
本当にこの話どう収拾つけるつもりなんだ筆者
ちゃんとオチつくんだろうなと不安をのこしてしつこく続くよ~~~

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主筆者紹介
HN:
いちもんぢ らく乃
HP:
性別:
女性
職業:
危険物楽器扱業
自己紹介:
見たまま怪しい奴
ではありますが
無害です



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