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のこぎり莫迦につき危険なり取り扱い注意
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※この物語はすべて筆者の妄想です
登場する団体や個人や楽曲が実在しているかどうかについてのお問い合わせにはお答えいたしかねます 予めご了承ください


(なおYさんTさんには出演の承諾をいただいてます ご協力感謝)

 

 

 


雨。
恵みの雨も時として陰鬱な物語のプロローグになりうる。

しと しと しと・・・・。
時刻は夜の11時。
雨音を聞きながら、女は刃渡り28インチに及ぶ大振りなのこぎりを一心に磨いていた。
安普請のマンションの一室で、ひとり。
玄関には濡れたコートや靴が乱暴に脱ぎ捨てられている。
外出から帰るなり女はのこぎりを磨いているのである。
なぜなら磨かないと錆びちゃうからである。
なんで錆びるかといえば今まで雨の中持ち歩いていたからなのである。
どーしてそんなもの持ち歩いていたかといえば先刻までのこぎり演奏の練習会に行ってたというわけなのお解りか?そんでな、関西にはのこぎりばっかり使って音楽を演奏するオーケストラがあるのよホントよ説明終わり。

全身が鉄板そのものなのこぎりに限らず楽器というもの、基本は水濡れ厳禁なのだから、のこ奏者に限らずミュージシャンは雨降りに難儀な思いをする。
「できればライヴの日は晴れてほしいなあ、ついでに搬入搬出のときも晴れててね頼むぜお願いお願いよ。」
と関係者はいつも胸の中で祈っている・・・とおもう。


「しっかし、なんでこう最近ライヴのたんびに雨降るのかなあ、誰やねん雨降らしているやつは・・・・。アタシや無いデ言うとくけど。」

この女もアマチュア楽団のビリッケツ奏者のくせに、一人前にえらそうな口をきいていた。

ちなみに昨年度彼女が所属している某オケ出演イヴェントのお天気を羅列してみよう。
・五月~ココルームイヴェント:雨
・六月~HNK収録:くもり
・九月~滋賀支部定期演奏会:雨
・十月~のこキャンプ:雨
・十月~服部緑地イヴェント:雨

そして今年現地点で終了したものは
・一月~メイシアター:雨
・二月~一心寺:雨

もののみごとに雨降りまくりである。ぼやくのもむべなるかな。

「やっぱS師匠かなあ雨男は。なんたってワシらアホの総統やもんなあ。
あの謎の麦踏みステップが怪しい。あれで雨雲呼んでるやわ。」

他に聞いている人がいないから言いたい放題である。

「あ、でも待てよ。【は○き○ライヴは晴れる】ってジンクス持ってはれへんかったっけ?」

女は頭をかしげた。

「きっとキ○シさんと組むから晴れるんや・・・・ソロやと二度雨降りやってるからなあ・・・・。あれ?でもトータルでいくと・・・・・ソロでも晴れた日が・・・・・うーむ。」

不肖のうえに不承不承な弟子は師のライヴを全て把握しているわけでもないので早々にデータ不足で耳から煙を吹いた。
ハナから推理に無理があるのだ。
女よ、もうこのあたりで止めておいたほうが身のためだぞ。
わけのわからん妄想くっちゃべってると業界から干されるぞ(汗)

「あ!判った!!」

何だどうしたのだ。

「雨男は師匠と違うわ。」

だから違うと言ってるではないか。

「犯人は・・・・テルミン奏者Yさんや!!」

はあああ??
何故?どっからその名前が出てきたのだ女よ。
確かに彼はオケの主要メンバーでありますが。

「なぜなら推理ドラマは一見いい人そうにみえて微妙に怪しげな人物が犯人だからである!!」

・・・・・あのなあ。

「うん、怪しい、実にあやしいぞYさんは。
穏やか~で人当たり良くて紳士で皆の人気者やけど、いったんステージに上ると奇怪な動作でエキサイトして演奏中マレット叩き折るわ流血するわ。
愛用のロシア製マシーンからきっと謎の電波を発して雨雲を呼んでいるに違いない!」

女よ。
いくらYさんが紳士でもここまで無茶苦茶言われたら怒ると思うぞ。

 

 

                         

 

 

 


「・・・・というわけなのだよ、Yさん、いや怪奇雨男、神妙にお縄を頂戴しろ!!」

「ええ?」

いきなりの訳のわからん言いがかりに、理知的な紳士も驚いた。

「いったい何を根拠にそんなことを・・・・・・・雨降らしなら僕はジャ○○○が怪しいとおもいます!」

狼狽のあまり自らの音楽ユニット【JB's】の相方を売るような発言までしてしまう。

「ぶはははは!語るにおちたな!真犯人というものは他人に罪をなすりつけるものなのだよ。」

女は得意満面に言い放った。

「彼女はね、NHK収録日に来ているねんよ。Yさんがお休みした回にね。その日雨は降らへんかってん。」

「なんと!そうだったんですか。」

素直におどろくテルミン奏者。

「僕が出演しなかった日は晴れたんですね。」

ははあ、と納得しかけて・・・・彼はふと何かを思い出した。

「あれ・・・でもですね、それだと昨年九月の滋賀も晴れなきゃおかしいですよ、僕その回も休みましたから。」

「・・・・・・は、はい~~~~~????」

「たしかその日も大雨だったんですよね。」

「あ、うう確かに。」

あっさり推理が破綻して言葉に詰まる女探偵。

「そういえばらく乃ちゃんって、ここに示したライヴやイヴェントに全部出演してるんやね。」

「そ、それが何か?」

「もしかして雨女の犯人ってらくn・・・・。」

「ちーがう違う違うちーがーうー!ほらほら、全部出演ってことは晴れた日にも行ったってことでしょ、ねっねっ!」

「その日はホッ○師匠パワーで除外されたってことじゃないかな?」

「あわわわわわ・・・あ、そうか、うん、きっと犯人はさっきYさんが言うてたジャ・・・。」

「真犯人というものは他人に罪をなすりつけるものなのだよ・・・でしたっけ?」

「えーと、そんなこと誰言うたんです~~~~???」

「探偵役が実は犯人だったって話もありますよね。」

「さいなら~~~~~~~。」

にこやかに微笑むテルミン奏者に背を向けてインチキ探偵はアサッテの方向へむかって逃げ出した。

「違う~犯人はアタシと違う~~~~!」


ドップラー効果を引きながら失踪する探偵は真相をみつけることができるのか?
真犯人は誰?
そしてアホな妄言ばかり吐く探偵にオケの面々はどのような制裁を下すのか(汗)
待て次号!

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主筆者紹介
HN:
いちもんぢ らく乃
HP:
性別:
女性
職業:
危険物楽器扱業
自己紹介:
見たまま怪しい奴
ではありますが
無害です



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