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のこぎり莫迦につき危険なり取り扱い注意
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をを、なんという運命の板面・・・じゃなかった悪戯か。
ライヴの度にのこぎり奏者達を穿つ雨。
襲い来るサビとの戦い。
何故、何故私達がこんな目にあうのだろうか?

晴れた日は今までになかったのか?
薄れ行く記憶を辿ると。

 


じ~わじわじわじわわわわわ・・・・・。
もう十一月だというのにもかかわらずじりじり照りつける太陽。
野外ステージ上で鉄板を握る若者達は、真正面から目を突き刺す午後の太陽光に全員、へシャゲ引き攣った笑みを顔面に張り付かせていた。

(あ、暑い暑い暑い~)
(っていうか熱い~)
(のこが・・・のこが熱い~~~~)

のこぎりが日光をモロに受けてアッツアツになっているのである。
すぐにでもお好み焼きが焼けそうだった。

そうあれは一昨年「三木市金物祭り」にスチールパンオーケストラと一緒に招待してもらった時の話だ。
え、そこまで遡るのかよ。

そうとも。
話はそこまで遡ることになるのだ。

あの時は本当に良い天気であった。
良すぎるといっても過言ではない。
何しろ11月というのに半そでTシャツで外をうろうろできたのである。
暑がりの私だからというわけでもない。
ほら、そこを胸に「生き地獄」と表記したTシャツ姿にサングラスの実年男性が通り過ぎたでしょ。
みんな暑いと感じているのだよ今日は。
・・・・・・・・それにしても、いまの男性、どっかで逢ったことあるような・・・・はて?

「生き地獄」
そう、あのステージはまさにそんな感じだった。
まだオケとマイクの相性を模索途中だったあのころ、しかも野外。
何本もマイクを立てているにもかかわらず、ちっとものこぎりの音を拾わず、しかも個人で抱えているマイのこの音さえ全て外に散ってしまって自分の音さえ確認できない。
これでハーモニーもへったくれもありゃしない。
その上、熱をもったのこぎりで弓に塗った松脂が溶けてしまい、つるつる滑って音が出しにくいったりゃありゃしない。
摩擦があってこそ音が鳴るって言うもんでしょうが。
ピアノもギターもウクレレも、どうやって伴奏をあわせればよいものか途方にくれていた。

ステージを終えて。

「たはははは。」
「とほほほ。」
「はは、はは、は・・・。」
「あ~あ・・・・。」
力なく笑うオケメンバー。

「大変でしたね~~。」
とピアノのコマツさんもお疲れのご様子。

「こんなはずじゃぁ・・・・・うううう・・・・・・。」
物凄く怖い顔で頭をかきむしるS支部長。

「まあ、こんなもんでしょ、そう気ィ落とさんと。」
と慰めるウクレレ抱えた生き地獄シャツに蝶ネクタイを締めたサングラスの男性・・・・・・・え?誰?!!!


まあ、それはともかく。
いつでもどこでも元気のよかったスチールパンオーケストラとは対照的なのこぎりオーケストラでありましたよ。

やはり南国生まれのスチールパンとちがって、ロシアや東欧で愛好されているのこぎりは暗くてしんみりした場が似合うのかなあ。
日本じゃもっぱら、オバケの音に使われるんだものなあ。

こんないい天気が悪いねん。
のこぎりに似合わへんねん。
もっと、じっとりしめっぽく。
のこぎりに似合う雰囲気プリーズ!


このとき金物の神様が「かなえてつかわすぞよ~~」と思ったのかどうかはしらないけれど。
とにかくこの日以降ピーカン日和からはほとんど愛想をつかされてしまったのは間違いない。

はい、余計なお祈りしちゃった筆者自業自得です(爆)

「やっぱりオノレが犯人かよ!!!」

ひいいいいいいいい。
やっぱそういうことになるの、なるの?
いやこれはもうほらみんな連帯責任やって、ね、ね、ね。
ここのステージで学んだことが後に生かされているんだからほら。
そんな、怒っちゃや~よ、うふv
ね。
だからさ~
これからも~
みんななかよく~
のんきにたのしく~
演奏しようよ~~~~
雨降りはのこぎりの音聴くのには最高のシチュエーションだと思ってさ~
・・・・・・だめ?

 

と、話をまとめたところで「アホ格推理小説」はこれにて終了。
雨降り伝説についてはこの先マダマダ続くかどうかはもうお天等サマの気分しだいよ。
そしてこのブログの行く末も筆者気分しだいよ。
書き逃げ上等!
ふはははははははは・・・・・・・

 

 

 

 


毎回竜頭蛇尾でごめんちゃい。

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「ひえええええええええええ。」

何かよく状況が飲み込めないが、とにかく本編の主人公である大間抜け女は逃げていた。
逃げて逃げて逃げて・・・・・・・。
たどり着いたのは*江の国、今で言うところの*賀県。
気がつけば琵*湖という湖のほとりに女はやってきていた。

「チクショウ、折角の推理がことごとく覆されて。これじゃまるで道化じゃないか。」

まるで、じゃなくて正に、だ。

「この地で行った【例のアレ】で推理に破綻がきたんだよな。」

ギロリと湖水をにらみつける。

「ばっきゃろー!てめ、何の恨みがあってアタシの推理にケチつけんだよ、うら~~~~!」

言いがかりにも程が有る。
完全に逆恨みではないか。
あ、こらそんなに興奮して鋸を振り回すんじゃない。
あぶないじゃないか。

「あらっ?」

ひゅるるるるるる~んぼちゃん!

言わんこっちゃない。

「ああっ嘘ォしまったァ!」

大事な鋸を湖に落としたな、お約束どおりの展開だなアンタ。
と、いうことは。
この後に続くのもお約束な・・・・・・・。

ぶく。
ごぼっ。

湖の中から大きな泡が立った。

ごぼぼ。
ぶくぶくぶく。

その泡はどんどん膨れ上がり・・・・・。

どざざざざざーっ。

そして大量の湖水を吹き上げて・・・・・。

「ごーらー!のごぎりを投げごんだのは、どごのどいつだー!」

「うわーでたーっ!お約束の展開キターッ!」

湖の主、琵*湖大*まずが出現した。

「おーまーえーかー?」

主は4トントラックのタイヤホイルのような目玉で女をにらみ付けた。

「あぶないじゃないかー!」

「ひゃーでけー!すげー!」

驚いて腰でもぬかすかとおもえばこの女、オドロオドロシクも馬鹿馬鹿しい展開にめげず、というか嬉々としてこの状況になじんでおり。

「鉄の鋸ですから。」

と怪物相手に元気に答えるしまつ。

「んなごだ判っでる。」

主、なんだかこのノリでは、やりづらそうである。
そんな相手の都合など考えずに女は。

「ですから鉄の鋸ですってば。」

物欲しそうな手つきで主にアピールしていた。

「アタシが落としたのは鉄の鋸なんです~正直に答えたから金の鋸と銀の鋸下さ~い。」

「何言うで、ドアホ!」

主は一喝した。

「そんな童話みだいな牧歌的なオチづけられるかボケ!」

「え~。」

「えー、じゃない。そもそもなんだ、お前は。卑しくも*阪*民でありながら、日ごろ恩恵を受げでいる*畿の*瓶の守り主であるどころのワシ、琵*湖大*まずに・・・・・・。
ええい!伏字だらけで鬱陶しい!何だ今回に限っで!」

「いやそのォ、万が一このブログをググられたら拙いんだな今回は・・・。」

先刻とはうってかわって妙に物言いに歯切れがなくなる女。

「きっとアノヒトこんなアホブログの存在に気づいてないと思うけどさ。気拙いじゃん。」

一応同門なんだしさとかなんとかブツブツ言って煮え切らないことこの上ない。
つかみどころの無いたとえに「瓢箪な*ず」という言葉があるが、これではどちらが*まずなんだか。

「どにがぐ!」

先に主の方がキレた。

「お前達が慢心に満ちだ演奏をで観客に不快な思いをさせない為に心を鬼にして雨を降らせでやっでいるのに何だその態度は!」

「ええ!」

これには流石に驚いた。

「そうやったんか。」

「そうとも。」

主は魚類の身でありながら起用にふんぞり帰った。

「お前だちがワシの為に毎年演奏会なんぞを催しでぐれるのでな。
ワシだってそのぐらいの指導はさせでもらうでな。ありがだぐ思うがいいぞ。」

「え?えー?それちょっと・・・ってたぶんおそらく違う。」

「何を言う段取り悪いリハでゲストに居心地悪い思いをさせ本番では狭い場所に観客押し込めて微妙に気持ち悪い音階でアレンジに何のひねりも無く左右バランスのおかしいマイクでハモってんだかなんだかよくわからん状態を延々とフルコーラスしかも暗くて湿っぽい選曲ばっかこれで金とるのかよアンコール曲も急にきめるなこっちだって都合ってもんがあるんだほらみろ案の定グダグダじゃん打ち上げの酒宴も座席割りが何だかな~不味い酒だったよあ~気疲れしたでも一応おんなじ講座受講した仲間だから悪口言えねえでも書くよ筆者小心者だからもし見つかって恨まれたら困るドキドキ脂汗のことやらかしたではないか。」

「それはうちらと違います!!!!!」

「え?あれそうなの?」

「うちらは主催じゃなくゲスト」

女は主にプログラムを見せた、証拠写真も。

「あ、らー。」

「・・・・・・・・。」

「人違い?のこ違い?」

「違い、です。」

「さらばだ!」

「あ、それアタシの台詞!」

「他人のふり見てわが身ふり直せ~~~~だど!覚えどげ~~!」

「無理やりいい方向へ話まとめるな~!」

逃げる主のたてた派手な水しぶきを浴びながら女は絶叫した。

「それからアタシののこぎり返せ~~~~~!」

「ごんな切れない鋸いらん。」

ぽいっと投げつけられたのこぎり。

「お、とととと。」

ごつん!

受け取り損ねたそれは女の脳天に直撃した。

「げ。」

あっさり昏倒する。
刃ではなく柄の部分だったのが不幸中の幸いである。

「では本当におさらばだ~。あ、よぐ考えたらワシっで地震予知はするけど雨乞いなんで神通力持っでおらんかっだ~ははははは。そんなスキル持っでおったらカラ梅雨で慌でる事もないしな~。雨のごどなら他当たっでや~。」

「な・・・なんじゃそりゃあ・・・・・。」

薄れ行く意識の中でツッコミを入れる女に降り注ぐ水しぶきはやがて本物の雨に変わっていた。

「オチ・・・どうすんねん・・・・。」

本当にどうしよう。

♪べよーん よ よーん よ・・・・

薄暗い室内に響き渡るみょうてけれんな調べ。
哀愁漂うロシア民謡も、のこ集団が一斉に演奏するとビジュアルもハーモニーもどうしてこう笑えるのだ、本人たちは大真面目なのに。

「はっ!」

ちょっとでも楽器演奏をやったことのある人なら、それもバンドやオケなど合奏ってヤツを体験したことがある人ならわかってもらえると思うが、大変なのよ集団で美しいハーモニーをつむぎだすのって。

「ほっ!」

だから集団行動にはリーダーが必要で、オケには指揮者やバンドマスターが必ずいるわけで。

「ひょうっ!」

【楽曲K】にはスペシャルなバンドマスター・・

「はっーは!」

さっきから聞こえるキッカイでケッタイな掛け声の主がそれで・・・・

「ひょーほ!うほうほ!」

掛け声隊長Tさんなのでありまして・・・・・

「むっきょー! ほきょ! ほきょ! うきゃ!うきゃ! ひょー! ほっきゅおおおおおおおおお!」 

お兄さん、あんた怖いわっ!

のこぎりの背中部分を肩に担ぐように構え、ギザギザした刃の部分を特製ギロ棒(材料は折れた傘の骨!)でギロギロ擦りながら絶叫する様はまるで怪奇漫画の登場人物のごとし。
その神がかり状態な掛け声につられて、のこオケの演奏もスピードに狂気が加算されてたいへんな状態に。

「うほ!うほ!うほ!うほ!」

気のせいかTさんの背景におどろおどろした漫画効果がみえるような・・・。
うーむ、なんとも怪奇効果背景の似合うお人よ、水木しげるの漫画にこういうサラリーマン居たよなあ、似てるなあ。
稲光のひらめきもよくお似合いよ。
って、え?

どんがらがっしゃ~~~ん

うわあ、まじだよ、本当に雷おちてるよ外。
雨降り出してますがな。

なんということだ。
いままで晴れていた空が急に乱れるなんて。
はっ。
もしかして。
我々のこの演奏が原因なのか、そうなのか?

そうだよ、どうも変だとおもっていたんだよ。
この円陣。
このパフォーマンス。
この演奏。
そして

「うきょ!」

・・・・・・この呪術師(笑)

間違いない。
「実は【楽曲K】の演奏イコール雨乞いの儀式だったのだ!」
そうだ間違いない。

「ちょっと、ちょっとらく乃ちゃん。」

「大変だ、皆聞いてくれい。」

「何ひとり興奮してんねん。」

「雨降ってるでー。」

「いやそれはわかってるって。」

「なんと!Tさんはわかってやってたんですか!」

「は?」

「このこの~しらばっくれちゃってもう。
この雨降らせたのは【楽曲K】なんでしょ?のこオケ自主練とかいって本当は秘密結社の雨乞い儀式だったんでしょ今日は~。
んもーそれだったら先に言うててーなー傘用意してきたのにー。」

「何寝ぼけたこと言うてんねん。今日は昼から天気崩れるって天気予報が言うてたやんか。」

「またまたトボケちゃって。天気は【楽曲K】のせいなんでしょ。
どうりで最近オケ舞台の日に雨ふる思った。
NHK以外全部この曲やってるもんなー。
うむ【楽曲K】効果抜群や。これで雨乞いツアーやったら儲かるんちゃうかな。
なあなあエエ考えやとおもいません?」

「・・・・・あのなあ、仮にこの曲が雨乞い儀式やったとしてもやで、朝から雨降ってたら関係ないやんか。」

「え?それはそのー・・・前日に練習したやつが次の朝効いて・・・とか。」

「一心寺の時は前日練習してないやろ。でも当日土砂降り。」

「う。」

「それにな、滋賀のアレな。あんときは【楽曲K】やってへんで。」

「がびーん!チクショウまた滋賀のアレで例外でたー!」

調子にのっていたはずの推理にまたまた穴が。
格好悪いぞ。
言い出した手前引っ込みがつかなくなって慌てて他に原因になりそうなものを探そうと頭の中で記憶に投網をなげつける。

「あ、あ、そうか【楽曲B】あっちか、あっちが雨乞い曲や、そうや~きっとそうや~。」

もうパフォーマンスも掛け声も関係ないがな。
最近よくやるレパートリーのせいにしようとしていた探偵に掛け声隊長は冷静に突っ込んだ。

「【楽曲B】はアメリカでやったよなー、ええ天気やったよなー。
金物祭りでもやったよなー、ものごっついカンカン照りやったよなー。」

「げふっ、そこまで遡りますか。」

ぐうの音も出ない探偵。

「そーか、演奏中そんなこと考とったんか。」

ギロリと刃を光らせて詰め寄る隊長。

「どうもリズムが狂って全体のノリが悪いと思ったら原因はらく乃ちゃんか。」

「ぎ、く。」

外だけではなく室内も雲行きが怪しくなってきた。
他のオケメンバーも「べつに怒ってへんでー」といいつつ微妙に生暖かい視線で探偵を貫く。

やばい。
このままではトラの穴に放り込まれて基礎リズム訓練地獄へ。

「あ たいへんだあ だいじなようじを おもいだしたぞー」

「台詞棒読みやで。」

「ちゅーわけで、サイナラっ!」

「逃げた!こらーもどって来~い特訓や~~~!」

 

またまた敵を増やして逃亡するはめになった探偵
本当にこの話どう収拾つけるつもりなんだ筆者
ちゃんとオチつくんだろうなと不安をのこしてしつこく続くよ~~~

前回ラスト、疾走しているつもりが誤変換で失踪になってるアホ探偵。
文字通りこのまま消えていりゃあいいものを、自分が雨女呼ばわりされたくないばかりに更なる容疑者をもとめて妄想街道ひた走る・・・・・。

 

 

走りつかれた女がたどり着いた先は大阪某所。
秘密のアジトである。

「こ、ここまでは誰も追ってこれまいて。ふふふふ。」

秘密の鉄の階段を上り秘密の入り口をくぐり秘密のシャッターを上げた。
すると!
嗚呼なんということ!
そこには探偵の想像を絶する恐ろしい光景が!!!
・・・・ではなくて。


「あれー?もう来たん?えらい早いなあ。」

「あーらく乃ちゃんやー、こんばんはー。」

「まだみんなご飯たべてるで。」

顔なじみのオケメンバーが数名のほほーんと食事をとっていた。

「あ・・・れ?今日練習日やったっけ?なんで皆ここにいるの。」

「なんでって今日は【楽曲K】の自主練習する言うてたやん。」

「自主練・・・?しまったそんな話もあったっけ。」

秘密のアジトとは大上段に構えたものである。
なんのことはないのこオケが練習場所に使っている多目的ルーム。
ライヴが近づくといつもの練習に加えて有志による強化自主練習も行うことがある。
楽器は不真面目でも奏者は真面目なのだ。

「そういうらく乃ちゃんこそ何しにここ来たんよ。」

「そ、それはもちろん自主練参加に決まってるやん、はは、はは、はははは・・・・。」

チクショウ誰もおらんと思ったのにとブツブツいいながら、常に背に装備しているのこケースから鋸とマレットを取り出した。
って、いつも持ち歩いているんかい!

「たまたま偶然やってことにしてんか。こうしないと話が続かないでしょーが。いくらアタシでも用なく毎日のこぎり持ち歩いたりせえへんわ。」

確かに職務質問されたらイッカンノオワリですな。


三々五々と集まってきたオケメンバー。
本日の練習曲は【楽曲K】
伴奏に他の楽器は用いない、純粋にのこぎりだけのハーモニーを聞かせるオケレパートリーのなかでも人気ナンバーだ。
哀愁ただようロシア民謡のシンプルなメロデイがどんどん転調してグルーヴが加速していく様がなんとも可笑しく且つ郷愁をさそうので何回聞いても飽きない。

しかし。
聞くのと演奏するのとでは大違いでこの曲、メンバーの息を合わせるのが物凄く難しいのである。
集中力を高め、楽曲に適度な緊張感を加え、そしてなんかようわからんけどカッコエ~~感じにするにはどんな練習を?


「ほんならちょっと電気消してみよか~。」

「カーテンも閉じてな。」

「円陣組も。」

「イスじゃなくて床に座ったら?」

「ろうそくの灯りでやってみよーな。」

「お、いい感じ~~。」

「なあなあ、入場行進の練習もせえへん?」

「いいね~。どうしようか?まっすぐ舞台に上るのもつまらないし。」

「ずらーって一列にならんで円陣組むまでぐるぐる回る・・・・。」

「あ、そんで座るまえに皆で鋸をガシーンってクロスさせたら?」

「刃を上に掲げるねんな?剣みたいに。」

「かーっこいい!やろうそれ!」

薄暗がりで大降りの刃物をもって右往左往する集団って君たち、何しているんですか、何召還するつもりですか。とても楽器練習するようにはみえない・・・・ん?
何何何?「にょーーーーーー」って気持ち悪い電子音が暗闇から聞こえてくるんですけど・・・・怖ええよマジ怖いよ君たち(汗)

「チューナーで音確かめているだけやん、大げさな。」

「最初のキーはEからやからね。」

「テンポUPは僕のギロ良く聞いといてな。」

♪ぼーん ぼーん ぼーん ぼーん・・・
♪んカ んカ んカ んカ・・・・

 


ようやく【楽曲K】の独特なイントロが鳴りはじめた。
これから起こる恐ろしい惨劇のプロローグであると気がついたものはこのときはまだ誰もいない。

 


犯人探しもうやむやなうちにオケ自主練習に巻き込まれた探偵。
この物語はこの先どう展開してゆくのか?
筆者はどこまで大風呂敷を広げる気だ?たたむ気あるのか?
以下次号を待て!

※この物語はすべて筆者の妄想です
登場する団体や個人や楽曲が実在しているかどうかについてのお問い合わせにはお答えいたしかねます 予めご了承ください


(なおYさんTさんには出演の承諾をいただいてます ご協力感謝)

 

 

 


雨。
恵みの雨も時として陰鬱な物語のプロローグになりうる。

しと しと しと・・・・。
時刻は夜の11時。
雨音を聞きながら、女は刃渡り28インチに及ぶ大振りなのこぎりを一心に磨いていた。
安普請のマンションの一室で、ひとり。
玄関には濡れたコートや靴が乱暴に脱ぎ捨てられている。
外出から帰るなり女はのこぎりを磨いているのである。
なぜなら磨かないと錆びちゃうからである。
なんで錆びるかといえば今まで雨の中持ち歩いていたからなのである。
どーしてそんなもの持ち歩いていたかといえば先刻までのこぎり演奏の練習会に行ってたというわけなのお解りか?そんでな、関西にはのこぎりばっかり使って音楽を演奏するオーケストラがあるのよホントよ説明終わり。

全身が鉄板そのものなのこぎりに限らず楽器というもの、基本は水濡れ厳禁なのだから、のこ奏者に限らずミュージシャンは雨降りに難儀な思いをする。
「できればライヴの日は晴れてほしいなあ、ついでに搬入搬出のときも晴れててね頼むぜお願いお願いよ。」
と関係者はいつも胸の中で祈っている・・・とおもう。


「しっかし、なんでこう最近ライヴのたんびに雨降るのかなあ、誰やねん雨降らしているやつは・・・・。アタシや無いデ言うとくけど。」

この女もアマチュア楽団のビリッケツ奏者のくせに、一人前にえらそうな口をきいていた。

ちなみに昨年度彼女が所属している某オケ出演イヴェントのお天気を羅列してみよう。
・五月~ココルームイヴェント:雨
・六月~HNK収録:くもり
・九月~滋賀支部定期演奏会:雨
・十月~のこキャンプ:雨
・十月~服部緑地イヴェント:雨

そして今年現地点で終了したものは
・一月~メイシアター:雨
・二月~一心寺:雨

もののみごとに雨降りまくりである。ぼやくのもむべなるかな。

「やっぱS師匠かなあ雨男は。なんたってワシらアホの総統やもんなあ。
あの謎の麦踏みステップが怪しい。あれで雨雲呼んでるやわ。」

他に聞いている人がいないから言いたい放題である。

「あ、でも待てよ。【は○き○ライヴは晴れる】ってジンクス持ってはれへんかったっけ?」

女は頭をかしげた。

「きっとキ○シさんと組むから晴れるんや・・・・ソロやと二度雨降りやってるからなあ・・・・。あれ?でもトータルでいくと・・・・・ソロでも晴れた日が・・・・・うーむ。」

不肖のうえに不承不承な弟子は師のライヴを全て把握しているわけでもないので早々にデータ不足で耳から煙を吹いた。
ハナから推理に無理があるのだ。
女よ、もうこのあたりで止めておいたほうが身のためだぞ。
わけのわからん妄想くっちゃべってると業界から干されるぞ(汗)

「あ!判った!!」

何だどうしたのだ。

「雨男は師匠と違うわ。」

だから違うと言ってるではないか。

「犯人は・・・・テルミン奏者Yさんや!!」

はあああ??
何故?どっからその名前が出てきたのだ女よ。
確かに彼はオケの主要メンバーでありますが。

「なぜなら推理ドラマは一見いい人そうにみえて微妙に怪しげな人物が犯人だからである!!」

・・・・・あのなあ。

「うん、怪しい、実にあやしいぞYさんは。
穏やか~で人当たり良くて紳士で皆の人気者やけど、いったんステージに上ると奇怪な動作でエキサイトして演奏中マレット叩き折るわ流血するわ。
愛用のロシア製マシーンからきっと謎の電波を発して雨雲を呼んでいるに違いない!」

女よ。
いくらYさんが紳士でもここまで無茶苦茶言われたら怒ると思うぞ。

 

 

                         

 

 

 


「・・・・というわけなのだよ、Yさん、いや怪奇雨男、神妙にお縄を頂戴しろ!!」

「ええ?」

いきなりの訳のわからん言いがかりに、理知的な紳士も驚いた。

「いったい何を根拠にそんなことを・・・・・・・雨降らしなら僕はジャ○○○が怪しいとおもいます!」

狼狽のあまり自らの音楽ユニット【JB's】の相方を売るような発言までしてしまう。

「ぶはははは!語るにおちたな!真犯人というものは他人に罪をなすりつけるものなのだよ。」

女は得意満面に言い放った。

「彼女はね、NHK収録日に来ているねんよ。Yさんがお休みした回にね。その日雨は降らへんかってん。」

「なんと!そうだったんですか。」

素直におどろくテルミン奏者。

「僕が出演しなかった日は晴れたんですね。」

ははあ、と納得しかけて・・・・彼はふと何かを思い出した。

「あれ・・・でもですね、それだと昨年九月の滋賀も晴れなきゃおかしいですよ、僕その回も休みましたから。」

「・・・・・・は、はい~~~~~????」

「たしかその日も大雨だったんですよね。」

「あ、うう確かに。」

あっさり推理が破綻して言葉に詰まる女探偵。

「そういえばらく乃ちゃんって、ここに示したライヴやイヴェントに全部出演してるんやね。」

「そ、それが何か?」

「もしかして雨女の犯人ってらくn・・・・。」

「ちーがう違う違うちーがーうー!ほらほら、全部出演ってことは晴れた日にも行ったってことでしょ、ねっねっ!」

「その日はホッ○師匠パワーで除外されたってことじゃないかな?」

「あわわわわわ・・・あ、そうか、うん、きっと犯人はさっきYさんが言うてたジャ・・・。」

「真犯人というものは他人に罪をなすりつけるものなのだよ・・・でしたっけ?」

「えーと、そんなこと誰言うたんです~~~~???」

「探偵役が実は犯人だったって話もありますよね。」

「さいなら~~~~~~~。」

にこやかに微笑むテルミン奏者に背を向けてインチキ探偵はアサッテの方向へむかって逃げ出した。

「違う~犯人はアタシと違う~~~~!」


ドップラー効果を引きながら失踪する探偵は真相をみつけることができるのか?
真犯人は誰?
そしてアホな妄言ばかり吐く探偵にオケの面々はどのような制裁を下すのか(汗)
待て次号!



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主筆者紹介
HN:
いちもんぢ らく乃
HP:
性別:
女性
職業:
危険物楽器扱業
自己紹介:
見たまま怪しい奴
ではありますが
無害です



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